最高裁判所第二小法廷 昭和39年(オ)1426号 判決 1966年3月11日
上告人
有限会社ネイスン・サブライズ・コンパニー
右代表取締役
ヘンリー・ビー・ネイスン
右訴訟代理人
鹿島寛
被上告人
長崎船食有限会社
右代表取締役
浜里尚美
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人鹿島寛の上告理由第一点について。
原審が訳文の添付がないのに外国語で書かれた文書を採証の用に供したのは違法な手続によるものではあるが、右文書の意味内容・立証趣旨が口頭弁論および証拠調の結果を通じて明らかにされ、当事者においてもこれを充分了知していること記録上明らかな本件においては、右文書を事実認定の資料として採証の用に供しても、民訴法二四八条の趣旨に趣旨に徴すれば所論のように原判決を違法ならしめると解すべきものではない。原判決に所論の違法はなく、所論は採用できない。
同第二ないし第四点について。
原審の確定するところによれば、上告会社は訴外園に同人の営む営業について上告会社佐世保出張所としてその商号の使用を許諾していたところ、被上告人は上告会社を当該営業の営業主と信じて訴外園との間で本件各取引をしたというのであり、その際被上告人において右のように信ずるについて過失はなかつたというのである。そして、原審は、右の事実によれば、上告会社は商法二三条により訴外園のした本件各取引について責に任ずべきであると判断しているのであつて、原審の右認定判断は挙示の証拠により是認することができる。所論は、原審の右認定を非難し、右認定にそわない事実を前提として原判決を非難するものであり、原判決に所論の違法は存しない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 山田作之助 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外)